連載 競輪全史が語る 第10回
単騎に妙味はあるか
第1回の続き。市場は単騎をほぼ完璧に値付けしていた——裏技は無い
リード
第1回で、単騎は弱いと分かった(1着率7.21%)。だが『弱い』ことと『買って損』は別だ。もし市場が単騎を過剰に嫌えば、弱くても妙味が生まれる。本紙に過去の単勝オッズは無いが、3連単オッズの束から『市場が各車を1着と見込んだ確率』は復元できる。それを実際の結果と突き合わせた。
市場は、単騎をほぼ完璧に値付けしている
結果は身も蓋もない。単騎の実際の1着率7.21%に対し、市場の見込みは7.23%——ほぼ一致(実÷市場=0.997)。ライン所属も実15.07%対市場15.03%でぴたりと重なる。群衆は単騎の弱さをすでに知り尽くしていた。『単騎だから嫌われて美味しい』という妙味は、平均的には存在しない。
唯一のほころびは、直感と逆だった
ただし得点順位で割ると、小さな綻びが見える。レース内で強い単騎(得点1-2位)は実19.42%<市場20.13%(比0.965)で、わずかに買われ過ぎ。逆に弱い単騎(5位以下)は実3.91%>市場3.76%(比1.039)でわずかに見逃されている。『人気の強い単騎を切り、地味な単騎を拾う』——多くのファンの直感とは逆の綻びだ。ただしいずれも数%の差で、控除率(約25%)を覆すほどの妙味ではない。
買い方への示唆
単騎に系統的な妙味は無い、が誠実な結論だ。第1回の『単騎の◎はレース内で地力が図抜けたときだけ』で十分で、それ以上の裏技は市場に残っていない。強いて言えば、人気を集める強い単騎を『人気だから』と過大評価しないこと。市場が正しいところで無理に逆張りしても、控除率に削られるだけだ。
データについて
2025年の男子レース。単騎の判定は本紙独自の並び解析(選手コメント)による。市場が見込んだ1着率=3連単オッズの1/オッズを『1着の車』ごとに合計し、全体で正規化(控除率を除去)して復元した各車の1着確率。過去の単勝オッズが未収録のための代替で、締切時点でなく最終オッズに基づく点は留保。
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